Raspberry Pi 5に非公式PoE/M.2 HATを導入した

Raspberry Pi

経緯

学生の頃Raspberry Pi 4でk8sクラスタを組んでいたが、

  • 予算の都合上2GBメモリのボードだったので、自由にコンテナが起動できない
  • SDしかストレージがないので当然スループットも悪い
  • RookでCephを構築したらクラッシュが相次いでまともに機能しなかった

という状態だったので、大人の力を使って十分なリソースのクラスタを作ろうとした。

購入したもの

SSDの写真がリンクと違うが、写真のSSDは挿しても認識されなかったので、リンクのものに買い替えた。

Raspberry Pi 5の電源事情

Raspberry Pi 5は電源ポートとしてUSB-Cの端子があるが、これまでの5V/3Aと異なり5V/5Aの電源を要求されるため、USB電源ハブでの使用は電力不足で安定しない。
あとクラスタを組むためには当然台数分の電源が必要だが、1台で1コンセント使っていると取り回しも非常に面倒。
USB電源が安定しないならPoEを使えばいいじゃない、ということでPoE HATを買おうと思ったが、これまた(2024/09時点で)公式PoE HATは販売されていない。

Raspberry Pi 5 PoE HAT

非公式に販売されているPoE HATとして有名なのはWaveshare製のHATで、日本でもいくつか使用レビューがインターネットに転がっている。

Waveshare PoE HAT(F) – Raspberry Pi 5用PoE電源HAT — スイッチサイエンス
https://www.switch-science.com/products/9614

個人的に気になったのは以下2点

  • 組み込みのファンを使う(公式のActive Coolerが使えない)
  • ストレージ問題も解決したいので、SSDのHATとの共存を考える必要がある

n-fuseのPoE&M.2 HAT

7月上旬くらいに探していたところ、偶然下記の製品をインターネットで発見した。

Power over Ethernet Hat for the Raspberry Pi 5 with mini PCIe and M.2 Slot Options – n-fuse
https://n-fuse.co/devices/SBCPoE-RPi-Power-over-Ethernet-Hat-for-Raspberry-Pi-5-with-mPCIe-Slot-m2-slot.html

レビュワーの紹介ページは下記。

N-Fuse PoE HAT for the Raspberry Pi 5 also includes mini PCIe or M.2 Key-M/E/B sockets – CNX Software
https://www.cnx-software.com/2024/07/05/n-fuse-poe-hat-for-the-raspberry-pi-5-also-includes-mini-pcie-or-m-2-key-m-e-b-sockets

この製品を取り寄せて導入することにした。
余談だが、銀行送金しか受け付けてくれなかったので、送金にはWiseを使用した。送金後2週間ほどで発送されたため、実際に手元に届いたのは3週間後くらいである。

インストール

このHATはそのまま使うとActive Coolerと同居ができない。
メーカに問い合わせて確認したが、レビュー記事の写真はActive Coolerのヒートシンクを一部削っているため、同じように自分で削る作業をしなければいけない。

自分も100均でミニ棒ヤスリを買って写真のように手前のヒートシンクを3本削った。
ちょうど2節削ると、HATの基盤と接触せず組み合わせられるようになる。

組み立て後SWに接続し無事起動した。SWの管理コンソールからも電源供給を確認できた。
52V/114mAとあるので、USB給電とはだいぶ給電特性が違っているようである。

課題

SSDにOSを焼いてPoE SWに接続をしたところ無事に起動ができたが、実際に利用しているといくつか課題があった

ソフトリブートできないことがある

ソフトリブートをするとSSDがファームウェアに認識されず、リブートできないことがある。
一度PoEケーブルを抜き差ししたりPoEの電源供給を止める必要がある。
SSDの問題なのか、ファームウェアの問題なのか、基盤の問題なのか完全な切り分けができていないが、HATを入れ替えても特定のRaspberry Pi本体だけで発生したため、ハットの問題ではない可能性もある。一応どの機器もeepromは最新にしているのだが…

熱問題

HAT固有ではなくSSD共通の問題であるが、Active Coolerが全く追いつかないほど熱を帯びる。
というかActive Coolerは本体基盤を冷やすようにインストールしているため、SSDを冷やす別の手段をちゃんと用意しないといけない。

このファンは1台でちょうどケース2台分の高さになった上、冷却性能も抜群ですぐ解決した。
具体的には、70℃後半だった本体温度が40℃後半で安定している。

おまけ:別製品

ちなみにこの記事を書くにあたって改めて調査したところ、同時期にGeeekPiがAmazonで類似の商品を出品していた。
今から組むならこっちでいいかもしれない。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8Y5Y6DX

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